ディーラー時代の苦い経験
昔、証券ディーラーを始めたばかりの頃、先輩ディーラーに、自分の損切りした銘柄を逆に買われたことがあります。
証券会社ですから、ある程度の評価損(買値からのマイナスかい離)になると、ロスカット(損切り)しなければならない社内のリスク管理ルールがあります。
今で言う、“社内のコンプライアンス”です。
もう、二十数年前の話ですがその後のディーラー人生で、非常に“役に立つ苦い経験”だったので、よく覚えています。
こんにちは。元ディーラーの佐藤です。
自分が良い(騰がる)と思った銘柄でも、想定とは逆に動く(下落する)ことは多々あります。
買った株が下がれば下がるほど自信を失い、不安が押し寄せて弱気になります。
そして、「もうダメだ・・・」と諦めて損切りすると、途端に株価は戻り始めます。
経験豊富な投資家であれば、そんな経験は過去に何度かあると思います。
今でも、そのようなことが、“頻繁にあるという投資家”も多いのではないでしょうか。
私が損切りした銘柄を先輩ディーラーが・・・
その損切りした場面で同じ銘柄を同水準で、私の一番親しい先輩ディーラーが躊躇なく買ったのです。
その瞬間、「えっ?」と思いました。
後輩が苦しんで損切りした場面を、何の躊躇いもなく買うという行為に憤りさえ感じました。
私はすぐに、「何で買ったんですか?」と訊きました。
何かの情報を知っていて、自分には教えてくれず、私が損切りするのを待って、買ったのだと。
返ってきた答えは、、、
「お前が良いと思って買った銘柄なんだろ、騰がると思ったから買っただけだ」と。
何と単純な理由でしょうか。
そう言われた瞬間、不機嫌になっていた自分が情けなくなりました。
自分の中では、“これ以上の損失を避けたい”という気持ちが心理を支配している状態ですから、「冷静な判断」ができなくなっていたのでしょう。
その先輩ディーラーは、ただ私が損切りするのを待っていた訳ではなく、ジッと値動きを観察していたのです。
私が買った水準よりも、かなり値下がりした株価位置という好条件も満たしていたのですから、“素直に行動”に移しただけです。
当然、マーケットには私と同じような心理状態の投資家の注文もあったはずです。
それでも、株価が下がらない魅力的な水準まで下落していたのでしょう。
先輩から学んだからこそ・・・
結果的には、その銘柄は当初の予想どおり値上がりし、先輩ディーラーはしっかり儲けていました。
仕掛けるタイミングや株価位置が違うだけで、結果が違ってくるのです。
これは後々、私のディーラー人生で大きな影響のある経験となりました。
この週1副業投資術がなぜテクニカル分析ではなく、『ローソク足チャートの値動きを重要視するのか?』という原点の部分でもあります。
個人投資家の皆さんも、自分の置かれている状態を基準に売買の判断するのではなく、
「他のマーケット参加者はどう相場を見ているのか?」
「どんな行動をしているのか?」
を冷静に観察してみてください。
相場というものは、あなたの評価損益や投資心理を基準に動いている訳ではありません。
売買が成立するということは、あなたの投資行動とは・・・
“逆のスタンス”を取っている投資家が「必ず」います。
そういったことも含めて、相場を冷静に観察するといいしょう。
ちなみに、その先輩ディーラーとは、今でも良い関係が続いています。
自分を信じて、自分で売買の判断できる個人投資家になり、株式投資で人生を豊かにして、周りの人も幸せにしてあげましょう!
今日の相場格言
「他人の損切りは蜜の味」
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