損益計算が投資心理に与える悪影響
こんにちは。元ディーラーの佐藤茂利です。
現状の損益計算を行なうことで、“投資心理”に大きな影響を与えます。
負けトレードが続くと、どうしても無茶な売買を繰り返し最終的には一発逆転を狙うような博打になってしまいます。
本日は、「相場において損益の計算をしてはいけない。」ということで過去の相場を踏まえてお話していきます。
6/7(金)の日経平均株価は2万0,884.71円で引けました。
前週比では283.52高となり、週足のローソク足も陽線で終わりました。
しかし、前週のローソク足実体上値(2万1,148.46円)を上回って引けることができなかったため、
「まだリバウンドの域は超えていない」という判断になります。
このリバウンド局面が継続すれば、それがトレンドになるということです。
どうなることでしょう。
さて、毎日たくさんのお問い合わせメールをいただきますが、その中でも多いのが、
日々の株価変動による評価損益の増減で不安になったかたから、
保有銘柄についてのアドバイスを求められます。
週足基準のリバーサルチェッカーで銘柄を選定しておきながら、“デイトレ(日足)思考”で評価してしまうのです。
みなさんは、そのように状態になっていませんか?
日々の株価変動と投資心理とは
株価は毎日変動しますから、当然、評価損益も目まぐるしく変わります。
特にそれまで上昇していた銘柄が反動安の局面になったり、下落していた銘柄がリバウンドしたりします。
その小さな上げ下げが大きなトレンドを描くのです。
目先(日々)の変化に一喜一憂していては、中長期投資は実践できないのです。
私が証券ディーラーとして在籍していた証券会社の会長は
競走馬を数十頭持ち、麻雀なども好きな、所謂、賭けごとが好きなかたでした。
その会長の言葉で忘れられないのが、
「勝負師は計算し始めたらそこで終わり」です。(ディーラーに向けた言葉です)
例えば、1日1万円の利益を目標にデイトレードを行なっている投資家が、
朝の30分で10万円の利益を得たとします。
10日分の利益ですから、
「もう、今日は十分稼いだから、減らさないようにトレードを止めておこう」という思考になったとします。
堅実な考えで、とても良いと思うのですが、
実はその分、チャンスも逃すことになります。
せっかく、売買のリズムが相場に合っている状況で、自らその流れを断ち切る判断をしているのです。
その理由は実際に得た「利益」です。
では、そのままトレードを続けたとして、10万円の利益があることにより心に余裕ができます。
次のトレードで、2万円の評価損となった場面で起こる思考は
「まだ8万円の余裕がある。戻る”かも”しれないから我慢しよう」となります。
投資ではなく、運だめしのような投機になっています。
本来、機械的に損切りしなければいけない場面でも、この時点で売買の判断基準は相場ではなく、
個人の運用状況(実損益や評価損益)になってしまいます。
あなたの損益など、他の投資家は誰も知りませんし、相場にはゼロとは言いませんが、ほとんど影響しません。
過去の損失を取り返そうという思考になるのも同じです。
朝、1万円のマイナスとなってしまった場合、そこからのトレードはまず、その1万円を取り返そうという思考になります。
・今、いくら利益(損失)が出ている
・今、損切りするといくら損失になる
・あと、○○円上がればいくら儲かる
・今日は、あと○万円儲けないと利益目標に足りない
・先月は大きくマイナスだったから、今月は頑張らないといけない
・投資を始めて○年、数百万円の損失になっている
投資心理と損益計算の影響まとめ
現状の損益計算を行なうことで、“投資心理”に大きな影響を与えます。
負けトレードが続くと、どうしても無茶な売買を繰り返し最終的には一発逆転を狙うような博打になります。
どうしても個人投資家はこのような投資行動になりやすいのです。ここにプログラムされた機械と感情のある人間の大きな違いがあるのですね。
利益目標を掲げたり、勝率や利益率などの個人ベースの損益計算をした時点で、
売買の判断が相場基準ではなくなりますので十分ご注意ください。
相場基準で売買した結果をそのまま受け入れて、一つ一つの売買を切り離して考えましょう。
マーケットが開いている限り、チャンスは何度もエンドレスに訪れます。
あなたの資産が今後も堅実に増えていくことをお祈りいたします。
今日の相場格言 「ぬかるなよ、見切り肝心、意地張るな、損して得をとることもある」
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