最近の主流
こんにちは。元ディーラーの佐藤です。
最近の投資の主流は、
“AI(人工知能)”
による投資だそうです。
個人投資家向けに資産運用のアドバイザーとなってくれるサービスです。
投資家の知識は一切不要で、最先端の技術を生かしたAI(人工知能)があなたに最適な金融商品を選んでくれる。
すごいですね。投資信託や個別銘柄などを提案してくれるのでしょう。
どんな基準なのかわかりませんが、いくつかの質問に答えるとその人に合った提案をしてくれるそうす。
その質問が、
「株式以外のモノの選び方」
「まとまったお金が入ったら何に使うか」
などだそうです。
・・・
これで一体、何がわかるのでしょうか。
私には不思議です。
人間は、その時、その局面、置かれている状況によって考え方がコロコロ変わりますし、臨機応変に対応できるから、人間なのだと思います。
現時点で人間が勝っている能力は?
“イレギュラーに対応できる能力”
これが人間にはあると私は思います。
今、機関投資家も売買の主流はAI(人工知能)です。
東京証券取引所の売買の7割以上がプログラム売買での超高速取引だそうです。
アルゴリズム取引というヤツですね。
2010年のアローヘッド導入以降、その影響が大きくなりました。
例えば、デイトレードをしている投資家の方ならばよくわかると思いますが、「板」状況が目まぐるしく変化します。
※板とは?
各銘柄(株式)に対して証券取引所に集約される売買注文の状況がわかるツール
大量の注文の発注・取消しを頻繁に行ない、他の市場参加者の売買を誘発しようとする「見せ玉」のようなことが頻発しています。
見せ玉は禁止行為ですから、人間が行なうと・・・
“金融商品取引法違反(相場操縦)罪”で捕まります。
しかし、予めプログラムされたものであれば、OKらしいです。
私が証券ディーラーの頃も、
「それはちょっとおかしいのではないか?」
という話はあったのですが、それが原因で駆逐されたディーラーは私を含めかなりいました。
何が一番問題かというと、大量の注文の発注・取消しを行なう行為です。
明らかに他の市場参加者の売買を誘発しています。
昔はありえない環境が、今は当たり前なのです。
クセやパターンを見つける
現在、私は板状況をあまり見なくなりました。
板読みが上手なディーラーに訊けばわかりますが、「上がる板」と「上がりそうな板」の違いを明確に答えられると思います。
それが値動きのクセやパターンを見つけるということにつながります。
私も勉強会やセミナーの中の余談で「板状況の見方」を解説することがありますが、板状況を基にした短期トレードは推奨していないので、参考程度の話に留めています。
近年、短い時間で急騰・急落が多いのは、こういったシステムの影響が大きいと思います。
人間は状況の変化という情報に対して、様々な感情が湧きおこり行動を起こします。
値動きに翻弄される人間の弱い部分です。
“期待”と“不安”が交互に襲ってくるのですね。
これに対して、AI(人工知能)は、過去の膨大なデータを駆使して冷静に状況判断して、最良の答えを出します。
感情がないので、機械的に処理します。
人間はAIに勝てないのか?
では、
「人間はAI(人工知能)には勝てないのか?」
「AIは間違いは起きないのか?」
ということになるのですが、AIは今、様々な分野に活用されており、人間の仕事を奪うまでになっています。
例えば将棋の世界では、ほぼ負け知らずのようです。
過去、数十年の対局棋譜数万曲を機械学習させて人間には思いつかない、独創的な手を打ち込んでくるそうです。
過去の膨大なデータから最適な答えを出しているのです。
では、相場でも最適な答えを出してくれるのか?と言えば、必ずしもそうではないと思います。
まず、将棋は何手先まで読むかによって、選択肢に限りがありますが、相場では時間軸が違えば、答えが無限大に変わってきます。
また、その判断は過去データが基準なので確率・統計論でしかありません。
目先の判断が最良であっても、一週間後や一ヶ月後であれば、結果が違ってくるのです。
判断基準が違えば、答えも違ってくるはずです。
途中に新たな材料が必ず出て来ますし、投資家の行動など状況変化でいくらでも変わります。
あなたの投資行動が株価変動に大きな影響を与えるかもしれないのです。
半年後や一年後の株価を当てることなど、誰にもできません。
ですから、AIは短期の時間軸でしか機能しないと思います。
戦う場所を変える
スピードでは間違いなく勝てないのですからデイトレなど短期の時間軸で戦わないことです。
もう、日足でも無理でしょう。
AIに欠けているものは、「想像力」や「創造力」でしょうか。
※「想像力」(imagination)とは?
現在自分の知識内にある事をもとにして心に思いをえがく力※「創造力」(creativity)とは?
現在存在しないものを新たにつくり出す力
こんな解説になっています。
しかし、最近のAIは自己学習するらしいので、この部分もクリアされてしまうと、本当に映画の中のストーリーが実現してしまう世の中になる日が近いのかもしれません。
感情のある投資家の行動が株価変動の要因ですから、感情のないAI同士の判断では相場にならなくなるのではないでしょうか。
だって、過去の膨大なデータは同じなのですから。
今、AIがやってくれるのは過去のチャートパターン分析です。
同じような形(局面)になっているチャートを選んでくれるというサービスはあるようです。
でも、過去と全く同じ結果になることはありません。
例えば、決算発表があります。
マーケットのコンセンサス(予想平均)よりも良いか悪いかで株価変動が起きます。
もう、博打の世界です。
決算内容が良くても急落する銘柄もありますし、悪くても悪材料出尽くしで上昇する銘柄もあります。
その時の市場参加者の行動によって結果が変わってくるのです。
結果を見て行動に移すので、目先の値動きに翻弄される市場参加者が多いのです。
人間の投資行動は常に変化しますし、資産状況や経験など、人それぞれ置かれている立場が違うのです。
結局、多くの市場参加者がやっている予想・予測は、短期の時間軸でしか通用しないということでしょう。
状況によって基準が常にブレてしまう投資家と一定の基準を守る投資家では、かなり結果が違ってくるということです。
臨機応変に対処できる能力が良いのか、ある一定の基準でしか判断しないのが良いのか、ですね。
それもAIのような予めプログラムされたとおりに動くのではなく、状況によって、判断基準を変えられるのが“人間の良さ”ではないかと思います。
AIで運用した場合、100%勝てるのならばいいのですが、マイナスとなることもあるでしょう。
その時、あなたはその結果に納得できますか?
自分で判断できるようになれば、それはスキルとなり、一生ものです。
それぞれのリスク許容度や投資スタイルを常に変化させながら、相場や環境に合わせた行動をとっていけばいいのではないでしょうか。
少し長くなってしまいましたね^^;
マーケットが開いている限り、チャンスは何度も訪れます。
自分を信じて、自分で売買の判断できる個人投資家になり、株式投資で人生を豊かにして、周りの人も幸せにしてあげましょう!
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